2024/11/01
懸魚は古民家ではあまり見る機会が少ないかもしれませんが、
寺社建築ではよく見られる破風板の下にある、棟木を隠すための飾り板です。
火災に弱い木造建築を守るためのまじないとして中国では昔魚の形のものが吊り下げられており、
鎌倉時代前期に建てられたとされる京都の教王護国寺(きょう おうごこくじ)=東寺の慶賀門の懸魚は
細長い胴体と尾びれを思わせる形でまさに魚がデザインされたものです。
これを見るとこの懸魚もやはり中国や朝鮮半島 から伝来したことが推測できます。
懸魚は魚の形をしたものを屋根にかけることで火災から建物を守る意味で
古代は「掛魚」という文字が使われていたともされます。防火のためのまじないとしては 蔵などの土蔵の妻面の壁に「水」というレリーフが作られたり、茅葺においても妻飾りにしの竹などを差し込み水という字を書いたりしています。また城郭の鯱鉾 (しゃちほこ)や寺院の大棟の両端に着く鴟尾(しび とびのお)も同じように火災から建物を守りまじないの一種と言えます。
古民家で懸魚が少ない理由は身分制度が関係します。武家が来る庄屋屋敷などでは許されたようですが、一般庶民にはゆるされない権威付けのひとつでもあったのです。
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