2024/11/01
「伝統的建造物群保存地区」をご存知ですか?
歴史的な風景を残すため、市町村が認定している地域で
そこでは、住民が暮らしながら昔の町並みを保存しています。(通称、伝建地区といいます)
形としてだけの建築を残すのではなく、暮らしの姿とともに残すことが
本来の意味での「文化の保存」になります。
一つの建物ではなく、周囲の環境も含めて、認定されます。
庭や建物内部を見学できるようにしているところもあり、
地域の勉強を兼ね、子どもたちの遠足の行き先になることもあります。
さらに、市町村からの申し出を受け、伝建地区の中でも特に価値の高いものを、
国が「重要伝統的建造物群保存地区」略して「重伝建地区」として選定しています。
福岡県においては、5か所が重伝建地区として選定を受けています。
八女市八女福島・八女市黒木・うきは市筑後吉井・うきは市新川田篭・朝倉市秋月の5か所です。
私の住む八女市にある重伝建地区は、福島城の城下町の構成を残しつつ、
江戸から明治初期に物産の集散地として栄えた商家町です。
特徴としては重厚な妻入り入母屋、大壁土蔵の町屋をはじめ、多くの町屋が連続して残っています。
明治中期と昭和初期の道路拡幅に伴う町屋の軒切りにより正面の一階意匠が大きく変化しました。
平成14年に重伝建地区に選定され、現在198棟が特定されています。
また、八女福島に次ぐ物産の集散地として栄えた「居蔵」の町屋が残る黒木町が平成21年に
重伝建地区に認定され117棟の建築物を特定されています。
居蔵」とは、土蔵造りの商家のしつらえと住宅のしつらえを兼ね備えた建物で、
漆喰で塗り固めた壁に瓦葺きであることが特徴です。
たびたび大火に見舞われた地区でもあるため、江戸末期より明治時代にかけて
火災に強い居蔵造りの建物が建てられ、現在まで残りました。
しかし、伝建地区に指定されなくても、
大切な家を住まいながら守っていく気持ちを大勢の方が持つことが、
素敵な町並みが出来上がっていく第一歩なのではないでしょうか。
一般社団法人福岡県古民家再生協会 代表理事
井上 静夫さんより