2024/11/01
日本の原風景のひとつに良くあげられる「水田」。
田植えのようすや、一面の金色の稲穂には、沁みいるような懐かしさを感じます。
その水田の風景を守ることに、情熱をかける村があります。
福島県 天栄村
福島第一原発から70kmほどの距離にあるこの村も、原発事故によって放射性物質の被害を受けました。
しかし、それに負けず独自の研究を重ね、その年、放射性物質ゼロの米を作りました。
さらにそのお米は、「全国米・食味分析鑑定コンクール」で金賞を受賞、安全で日本一美味しいお米と認められました。
日本の伝統 9月号では、
天栄村役場産業振興課 課長の吉成 邦市さん、
天栄米栽培研究会 会長の岡部 政行さんを取材しました。
取材の際、吉成さんからこんな話を聞きました。
―福島で30年かけて、土壌の改善や工夫を行い、無農薬のキャベツを作り上げた男性がいたんです。
3.11の東日本大震災が起こった頃は、ちょうど春キャベツの出荷の時期でした。
育て上げたキャベツが収穫を待っていたころ、福島第一原発事故が起こりました。
その畑のキャベツは、FAX1枚で出荷停止の宣告を受けました。
男性は自分の30年が一瞬で失われてしまったことを嘆き、自ら命を絶ちました―
頑張っている人ほど、辛かったのだと思います。
大震災に加え、未曾有の放射能汚染。しかし、そこから立ち直っていこうとしている東北。震災から2年半が経ちますが、未だ風評被害に苦しんでいたり、故郷に帰ることができない人もいます。忘れることなく、支え合っていきたいですね。
天栄村の米づくりを追ったドキュメンタリー映画(桜映画社)も公開されています。
映画「天に栄える村」 http://www.sakuraeiga.com/tensaka
左から(社)福島県古民家再生協会 内川紀雄さん、天栄米栽培研究会会長 岡部 政行さん、
天栄村役場産業振興課課長 吉成 邦市さん、(社)古民家再生協会宮城 藤木 武人さん